日本の取り組み
EDINET(エディネット)とは、「金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム」のことで、「Electronic Disclosure for Investors’ NETwork」の略称です。
EDINETは、従来、紙媒体で提出されていた有価証券報告書、有価証券届出書等の開示書類について、その提出から公衆縦覧等に至るまでの一連の手続を電子化することにより、提出者の事務負担の軽減、投資家等による企業情報等へのアクセスの公平・迅速化を図り、証券市場の効率性を高めることを目的として開発されたシステムです。
具体的には、有価証券報告書等の提出者が、提出書類に記載すべき情報についてインターネットを利用して財務局等に提出します。提出された開示情報はインターネット経由でどこからでも自由に開示書類を閲覧することができます。
(図1)EDINETの概要
XBRLの導入
EDINETは2001年から稼働を開始し、開示書類の対象を拡大するなど年々充実してきましたが、2008年3月には開示書類の二次利用性の向上を目的として、有価証券報告書等の財務諸表部分にXBRLを導入しました。
2008年のXBRL導入においては、その対象範囲は有価証券報告書や四半期報告書等の財務諸表本表部分に限定されていましたが、2013年9月には、更に投資家等の利便性を向上するために「次世代EDINET」を稼働し、検索機能等を強化するとともに、有価証券報告書や四半期報告書等の開示書類全体をXBRL形式とし、また、XBRLの対象となる開示書類を拡大しました。
XBRLの導入により、EDINETではインターネットでの開示書類の閲覧だけではなく、開示書類をXBRL形式のデータとしてダウンロードし、利用することが可能になりました。XBRL形式のデータは、コンピュータ環境に依存せず、広範なアプリケーションに取り込み可能であることから、EDINETからこれをダウンロードすることにより、多くの投資家等が、財務情報等の高度な加工・分析を迅速に行うことが可能になります。
なお、「次世代EDINET」ではXBRL対象範囲拡大に伴い、XBRLファイルの形式としてInline XBRL形式を導入しています。
XBRLの範囲
2008年のXBRL提出の開始以来、XBRLの対象範囲は、有価証券報告書や四半期報告書等の財務諸表本表に限定されていました。
2013年度中に適用開始を予定しているXBRL対象範囲拡大後は、XBRL対象書類が従来の有価証券報告書や四半期報告書等に加え、新たに臨時報告書、公開買付届出書、公開買付報告書及び大量保有報告書等が含まれます。また、多くの様式について報告書全体がXBRL対象範囲となります。XBRL対象範囲拡大後のXBRL対象範囲の詳細は下表のとおりです。
2008年度~ | 2013年度~ | |
有価証券届出書 | ○ (財務諸表本表のみ対象) |
○ (開示書類全体が対象) |
有価証券報告書 | ○ (財務諸表本表のみ対象) |
○ (開示書類全体が対象) |
四半期報告書 | ○ (財務諸表本表のみ対象) |
○ (開示書類全体が対象) |
半期報告書 | ○ (財務諸表本表のみ対象) |
○ (開示書類全体が対象) |
臨時報告書 | ○ | |
発行登録書 | ○ | |
発行登録追補書類 | ○ | |
自己株券買付状況報告書 | ○ | |
公開買付届出書 | ○ | |
意見表明報告書 | ○ | |
公開買付撤回届出書 | ○ | |
公開買付報告書 | ○ | |
対質問回答報告書 | ○ | |
大量保有報告書 | ○ | |
内部統制報告書 | ○ |
タグ付けの方法(包括タグと詳細タグ)
EDINETでは次の2種類のタグ付け方法が使用されており、各方法によるタグ付けの単位で情報を抽出することが可能です。
□包括タグ:文章、表等の複数の情報をまとめて囲む場合に用いるタグ
□詳細タグ:文字列、文章、金額、数値等ごとに付けるタグ
例えば、有価証券報告書においては、報告書全体の情報が概ねセクション単位で包括タグ付けされています。また、次のような情報が詳細タグ付けされています。
● 表紙(会社名、会社コード、会計期間等) |
● 主要な経営指標等の推移 |
● 大株主の状況 |
● 財務諸表本表(※) |
● 貸借対照表関係注記の一部(※) |
● 損益計算書関係注記の一部(※) |
● セグメント情報(※) |
※日本基準の場合は詳細タグ付けが必須。IFRSの場合は詳細タグ付けが任意。米国基準の場合は詳細タグ付けの対象外 |
参考文献:「EDINET概要書」、「EDINETタクソノミの概要説明」