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XBRLのテクノロジー

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XBRLのテクノロジー-2

XBRLの2つの領域

XBRLはもともと、汎用的なビジネス報告書言語としてスタートしており、特に財務会計上の開示情報を表現するためのXBRL FR(Financial Report)といわれる領域で発展してきました。現在では、XBRLの各国の組織により、さまざまな会計基準ごと、分野ごとにXBRL FRのタクソノミが開発されています。日本では、世界に先駆けて、税務申告のためのタクソノミが国税庁により開発され、適時開示のためのタクソノミが東京証券取引所により開発され、さらに企業情報開示のためのタクソノミが金融庁により開発されました。これらのタクソノミに基づいて作成されるXBRL文書を利用するシステムが数多く構築され、本番運用が行われています。
こうした国ごとの会計基準に対応したタクソノミに加え、業種別タクソノミ、自社タクソノミをあわせて定義することができ、業務に応じてタクソノミを拡張することができます。
これに対して、企業内部の会計情報を扱うXBRLタクソノミの議論・開発が行われています。これはXBRL GL (Global Ledger)といわれ、グローバルにひとつのタクソノミ基本部を開発し、その上にいくつかのオプションモジュールを組み合わせる方式になっています。
XBRLが財務報告の領域だけでなく、企業内部の会計情報も扱えるようになることで、より広い業務範囲をカバーする標準となることが期待されています。

XBRLの実用化イメージ

XBRLを使った場合の、財務情報の作成や利用イメージは以下のようになります。

<ビジネス報告情報作成時>
  1. (1) タクソノミ文書を作成する。
    各国の実務や会計制度に対応したタクソノミ文書(以下、基本タクソノミ)及び業種などで共通化されたタクソノミ文書(以下、業種別タクソノミ)を拡張し、自社独自の勘定科目名や表示方式などの情報を加えたタクソノミ文書(以下、自社タクソノミ)を作成する。
  2. (2) タクソノミ文書を元にインスタンス文書を作成する。

 

これらを図示すると図2.のようになります。

図2.XBRL 2.1 Spec.の構成例

この例では、「Japanese GAAP Taxonomy」が基本タクソノミを表し、「Industry Taxonomy」が業種別タクソノミを表し、さらに「My Company Taxonomy」が自社タクソノミを表しています。

 

<ビジネス報告情報利用時(利用イメージ)>
XBRL文書として作成されたビジネス報告情報は、XLinkやXSLTなどのXML関連技術や専用のアプリケーションを用いることにより、様々な用途に利用できます。XBRL文書を入力として処理をおこない、目的とする勘定科目の数値や表示ラベルなどの値を抽出し、抽出した情報を用いて分析・活用することができます。また、HTML、PDF、CSV、その他のXML形式など、ニーズに応じた様々な形に変換して情報を利用することができます。
XBRL形式で開示された情報は、利用者(機関投資家・個人投資家、金融機関、監督・規制機関、監査法人など)により様々な形で活用されます。
タクソノミ文書は、ビジネス報告情報の作成・利用どちらにおいても、重要な役割を果たします。タクソノミ文書には、インスタンス文書を作成・処理・表示・比較・解析する際に必要な情報として勘定科目の定義情報などが含まれます。
XBRLの実用化・普及のためには、国レベル、業種・業界レベルでの共通タクソノミ文書の作成と普及の促進、ビジネス報告情報の利用目的ごとのタクソノミ文書の作成と普及の促進が必要です。また、XBRL 2.1 に対応したインスタンス文書・タクソノミ文書の設計・編集ツールの整備・普及や、関連する会計処理ソフトとの連携などの推進も必要です。

 

図3.はXBRL文書(タクソノミ文書およびインスタンス文書)の処理に必要なツール、ソフトの関連をまとめたものです。

図3.XBRL 2.1 のツール群

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