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XBRLのテクノロジー

XBRLの基本構造

XBRLでは、各種事業報告用情報の作成・流通・分析・変換などに適したXMLによる標準規約を制定しています。XBRLの基本規約としては、国際組織であるXBRL Internationalから、2013年2月20日付けのXBRL 2.1 Specification(以降、XBRL 2.1と略します)が公開されています。また、XBRL 2.1には、XML SchemaやXLinkなどのWorld Wide Web Consortium(W3C)で標準化されているXML関連技術が積極的に取り入れられています。

XBRLのデータ構造

XBRLでは、以下の2種類の文書で財務情報を記述します。

(1)インスタンス文書(1)XBRL Instances

ビジネス報告情報を記述したXML文書です。報告の数値、テキストなどを記述するだけではなく、期、年度などを定義するコンテキスト情報や、円、ドルなどの通貨単位を表すユニット情報も記述します。
なお、このようなインスタンス文書の特性に加え、書式体裁情報を両立させたいというユースケースに対応するための1つの解決策として、Inline XBRL 1.0が2010年4月20日に勧告となりました(2013年11月18日にInline XBRL 1.1更新)。同仕様は、Web上の文書記述言語として広く普及している(X)HTML内に、インスタンス文書の構成要素である数値、テキスト、コンテキスト、ユニットなどのタグ情報を埋め込むための仕様であり、また、埋め込まれたタグ情報を容易に抽出可能で、インスタンス文書を復元しやすい、という特長も備えており、日本を含む広く各国の制度において利用が開始されています。 ビジネス報告情報を記載するために必要な勘定科目名(ラベル)の定義や各項目の表示順・足し合わせ計算関係などは、次に説明するタクソノミ文書に記述します。

(2)タクソノミ文書

タクソノミ文書は、タクソノミスキーマ(XML Schema)とリンクベース(XLink)を使って、インスタンス文書の内容・構造・扱われ方などを定義しています。特に、XBRL 2.1では、XLinkの技術を使ったリンクベースを採用したことで、様々な用途に利用可能な財務情報の記述が可能となりました。
タクソノミ文書は、以下の2種類の文書で記述します。

タクソノミスキーマ(XML Schema)

インスタンス文書の語彙(要素名、属性など)をXML Schemaで定義したものがタクソノミスキーマです。具体的な勘定科目名や注記事項などの項目が定義されます。
このタクソノミスキーマの中で、次に説明するリンクベースへの参照が定義されます。

リンクベース(XLink)

タクソノミスキーマで定義された項目に対して、各項目間の関係や、各項目に対する追加情報などを、XLinkの外部リンク機能を利用して定義したものがリンクベースです。具体的には、各勘定科目の表示順序や、計算方法、勘定科目として表示される値のラベルの定義などをおこないます。これらの定義は、タクソノミスキーマとは別のファイルとして作成することができます。
XBRLが定義するタクソノミ文書のリンクは、以下のリンク定義になります。(①XBRL 2.1 Spec. にビルトインされた基本的なリンク定義と、②追加定義された、応用的なリンク定義の2つに大別します。)XBRLではこれらのリンク定義を個別のリンクベースとして、ファイルを分けて作成します。

① XBRL 2.1 Spec. に定義されている、基本的なリンク定義

Presentation Linkbase

項目間の表示順を定義

Calculation Linkbase

項目の数値データの重み付き加算式を定義

Definition Linkbase

項目間の様々な関係(意味の同一性、項目の出現規則など)を定義

Label Linkbase

項目の表示名称(ラベル)を定義(日本語/英語/中国語など様々な言語で定義可能)

Reference Linkbase

参考文献(会計概念定義の根拠文献)を定義

② XBRL 2.1 Spec. 後に定義・勧告された、応用的なリンク定義(※)

Dimensions 1.0
(2006年9月18日勧告)

項目間のディメンション(多次元)データ構造を定義(Dimensions仕様を利用しコンテキスト情報を表現することで、商品毎、地区毎、などの多視点から分析可能な報告文書を構築可能)

Generic Links 1.0
(2009年6月22日勧告)

XBRL 2.1で定義されているリンクベースとは別のビジネスルールやレンダリング情報などの新しいメタデータを作成するための汎用的な(Generic)基盤ルール。(このリンク定義自体を直接的に使用するものではなく、例えば以下のFormula, VersioningはこのGenerik Linksの仕様に基づいて定義を記述する)

Formula 1.0
(2009年6月22日勧告)

フィルタ(Filters)、変数(Variables)の概念が導入され、数式(Formula)により項目の値を再計算・項目間の値をチェックする、などのビジネスルールを定義(Calculation Linkbaseと比較し、例えばディメンションやコンテキストをまたがる複雑な計算(期末=期首+期中増減などの移動計算など)が可能)

Table Linkbase 1.0
(2014年3月18日勧告)

表の構造を定義

上を図示すると図1.のようになります。

図1.XBRL 2.1 Spec.の構造

図1

(凡例)

対象

内容

XBRL2.1標準

インスタンス文書

項目の値を定義

標準

Inline XBRL文書

項目の値を(X)HTMLファイル内に埋め込み定義

拡張

XML Schema

項目のタグ名(語彙)を定義

標準

LB(P)

項目の表示順を定義(Presentation Linkbase)

標準

LB(C)

項目の値の加算式を定義(Calculation Linkbase)

標準

LB(D)

項目同士の関係を定義(Definition Linkbase)

標準

LB(L)

項目の表示ラベルを定義(Label Linkbase)

標準

LB(R)

項目の参考文献を定義(Reference Linkbase)

標準

LB(Dim)

項目間の多次元データ構造を定義
(Dimensions, Definition Linkbaseで表現)

拡張

LB(F)

項目間の複雑な計算関係、ビジネスルールを定義
(Formula, Generic Linkbaseで表現)

拡張

LB(T)

項目の表形式の構造を定義
(Table Linkbase, Generic Linkbaseで表現)

拡張

XBRL 2.1は、このように新しい機能を柔軟に取り入れられるよう考慮されており、さまざまなビジネスニーズに応えることが可能です。

XBRLの2つの領域

XBRLはもともと、汎用的なビジネス報告書言語としてスタートしており、特に財務会計上の開示情報を表現するためのXBRL FR(Financial Report)といわれる領域で発展してきました。現在では、XBRLの各国の組織により、さまざまな会計基準ごと、分野ごとにXBRL FRのタクソノミが開発されています。日本では、世界に先駆けて、税務申告のためのタクソノミが国税庁により開発され、適時開示のためのタクソノミが東京証券取引所により開発され、さらに企業情報開示のためのタクソノミが金融庁により開発されました。これらのタクソノミに基づいて作成されるXBRL文書を利用するシステムが数多く構築され、本番運用が行われています。
こうした国ごとの会計基準に対応したタクソノミに加え、業種別タクソノミ、自社タクソノミをあわせて定義することができ、業務に応じてタクソノミを拡張することができます。
これに対して、企業内部の会計情報を扱うXBRLタクソノミの議論・開発が行われています。これはXBRL GL(Global Ledger)といわれ、グローバルにひとつのタクソノミ基本部を開発し、その上にいくつかのオプションモジュールを組み合わせる方式になっています。
XBRLが財務報告の領域だけでなく、企業内部の会計情報も扱えるようになることで、より広い業務範囲をカバーする標準となることが期待されています。

XBRLの実用化イメージ

XBRLを使った場合の、財務情報の作成や利用イメージは以下のようになります。

<ビジネス報告情報作成時>

(1)タクソノミ文書を作成する。
各国の実務や会計制度に対応したタクソノミ文書(以下、基本タクソノミ)及び業種などで共通化されたタクソノミ文書(以下、業種別タクソノミ)を拡張し、自社独自の勘定科目名や表示方式などの情報を加えたタクソノミ文書(以下、自社タクソノミ)を作成する。

(2)タクソノミ文書を元にインスタンス文書を作成する。

これらを図示すると図2.のようになります。

図2.XBRL 2.1 Spec.の構成例

図2

この例では、「Japanese GAAP Taxonomy」が基本タクソノミを表し、「Industry Taxonomy」が業種別タクソノミを表し、さらに「My Company Taxonomy」が自社タクソノミを表しています。

<ビジネス報告情報利用時(利用イメージ)>

XBRL文書として作成されたビジネス報告情報は、XLinkやXSLTなどのXML関連技術や専用のアプリケーションを用いることにより、様々な用途に利用できます。XBRL文書を入力として処理をおこない、目的とする勘定科目の数値や表示ラベルなどの値を抽出し、抽出した情報を用いて分析・活用することができます。また、HTML、PDF、CSV、その他のXML形式など、ニーズに応じた様々な形に変換して情報を利用することができます。
XBRL形式で開示された情報は、利用者(機関投資家・個人投資家、金融機関、監督・規制機関、監査法人など)により様々な形で活用されます。
タクソノミ文書は、ビジネス報告情報の作成・利用どちらにおいても、重要な役割を果たします。タクソノミ文書には、インスタンス文書を作成・処理・表示・比較・解析する際に必要な情報として勘定科目の定義情報などが含まれます。
XBRLの実用化・普及のためには、国レベル、業種・業界レベルでの共通タクソノミ文書の作成と普及の促進、ビジネス報告情報の利用目的ごとのタクソノミ文書の作成と普及の促進が必要です。また、XBRL 2.1 に対応したインスタンス文書・タクソノミ文書の設計・編集ツールの整備・普及や、関連する会計処理ソフトとの連携などの推進も必要です。

図3.はXBRL文書(タクソノミ文書およびインスタンス文書)の処理に必要なツール、ソフトの関連をまとめたものです。

図3.XBRL 2.1 のツール群

図3