XBRLの仕様・規約
規約(Specifications)
XBRL文書(タクソノミ文書およびインスタンス文書)のための規約です。
すべてのXBRL文書が準拠しなければならない基本規約(XBRL 2.1
Specification)とその拡張規約群に分けられます。
- XBRL 2.1 Specification
XBRLの基本規約です。修正版がerrataとして随時公開されています。 - Link Role
Registry
タクソノミ文書やインスタンス文書の中で利用することができる一連の情報セットを共有・有効利用するための枠組みです。登録されている値を利用してタクソノミ文書やインスタンス文書を作成することで、報告データの再利用性が高まります。 - XBRL Dimensions
2次元の表など、複数の軸を持ったデータを表現するための拡張仕様です。
修正版がerrataとして公開されています。 - Generic Links
XBRL 2.1 Specificationでカバーされないビジネスルールやレンダリング情報などの新しいメタデータを表現するリンクベースの基盤となる拡張仕様です。Formula SpecificationとTable Linkbase Specificationは、このGeneric Links仕様の上に定義構築されます。 - Formula
Specification
各タクソノミに沿って作成されたインスタンス文書に対して、ビジネス的な観点から計算結果を得たり、評価ルールを記述するための拡張仕様です。インスタンス文書の作成者と利用者の間で評価ルールを共有することで、提供されるインスタンスの品質を向上させることができます。 - Function Registry
上記のFormulaで定義する計算式、チェック式などで利用する関数を、登録・共有するための枠組みです。Function DefinitionsおよびXBRL Registry Specificationに則って登録します。 - Versioning
Specification
XBRL文書の二つのタクソノミの間の差分を記述する形式を定義する拡張仕様です。タクソノミの改版に伴う変更内容をタクソノミ作成者と利用者の間で共有することができるようになります。 - Table Linkbase Specification
XBRLデータの表示・編集のためのテーブル構造を定義するための拡張仕様です。 - Inline XBRL
インスタンスの情報を、HTMLに埋め込むための拡張仕様です。Inline XBRL形式はWebブラウザで参照することができるため、人間が読めるとともにコンピュータがデータとして処理することもできます。 - Extensible Enumeration
列挙型を定義するための拡張仕様です。 - Generic Preferred Label
タクソノミの表示リンク以外のリンクに優先ラベル(Preferred Label)を指定するための拡張仕様です。 - Data Type Registry
タクソノミに定義される各要素のデータ型に関する仕様です。 - Units
Registry
インスタンス文書によって報告される数値の単位に関する仕様です。各国の通貨、長さや重さ、エネルギーなど様々な単位が標準で定義されています。
ベストプラクティス
XBRLによって表現される財務情報(XBRL FR)は、タクソノミ文書とインスタンス文書から構成されます。タクソノミ文書、インスタンス文書とも、XBRL仕様に準拠した文書を自由に作成することができますが、記法に一貫性がある文書を作成するためのガイドラインがあれば、より効果的にXBRL文書を利用できるようになります。これらのガイドラインも技術サポート仕様としてXBRL Internationalによって用意されています。2013年8月31日現在、以下のガイドラインが公開されています。(なおこれらのガイドラインは作成されてから時間が経過しており現状に合わせるよう更新作業がXBRL Internationalにて行われています。)
- FRTA(Financial Reporting Taxonomies
Architecture)
各国のGAAPタクソノミなどの財務レポート用のタクソノミ文書のガイドラインとして2006年3月20日版のFRTA 1.0(Financial Reporting Taxonomies Architecture)が勧告として公開されています。XBRL Internationalから承認(Approved)されたタクソノミ文書として認定されるためには、このFRTAに準拠して作成する必要があります。2011年5月16日に修正版のFRTA 1.5が公開草案として公開されています。 - FRIS(Financial Reporting Instance Standard)
インスタンス文書のガイドライン文書としてはFRIS(Financial Reporting Instance Standard)が用意されています。この文書はXBRL Internationalで公開草案として公開されています。
また、発行主体はXBRL InternationalではなくIFRS Foundationになりますが、2011年4月19日にGlobal Filing Manual(GFM)も公開されています。これはもともと、企業の財務情報等の開示に極めてよく使用されているIFRSタクソノミ、EDINETタクソノミ、US-GAAPタクソノミ間の国際的な相互調和、比較可能性の確保を目的としたITA(Interoperable Taxonomy Architecture) Projectの成果物として公開されたものです。タクソノミ設計に関する汎用的な規約として尊重されており、同日以降公開されたタクソノミ(例えばEDINETタクソノミ)においてはGFMが定める規約を極力遵守するように設計されています。
タクソノミ
グローバルに開発されたタクソノミは、XBRL Internationalによる認識プロセス(Taxonomy Recognition
Process)において、XBRL2.1のバリデーションをクリアし、必要なドキュメント類が整備されている等の諸条件を満たした「認知(Acknowleged)」という状態と、「認知」状態を経過しFRTAのタクソノミ検証を通過した「承認(Approved)」という状態に大別されます。(http://www.xbrl.org/FRTaxonomies)なお、先述の通りFRTA自体が見直しされようとしているため、現在XBRL
Internationalにおいて新規の承認は行われていません。
国内のタクソノミ以外にも、例えば以下のような標準タクソノミが開発され、XBRL
InternationalのWebサイトに登録されています。
- XBRL GL(Global Ledger)
勘定科目、会計仕訳、勘定残高などの会計・財務情報を表現するためのXBRL タクソノミです。2007年4月17日にXBRL Global Ledger Frameworkとして正式に勧告化し、2015年3月25日に最新版が公開されました。 - IFRS(International Financial Reporting
Standards)
国際財務報告基準(IFRSs)に基づくタクソノミです。2015年版のタクソノミがXBRL Internationalにより認知されています。 - US GAAP(Generally Accepted Accounting Principles in the United States)
米国会計基準(US GAAP)に基づくタクソノミです。2015年版のタクソノミがXBRL Internationalにより承認されています。
XBRL GLとは
XBRL GLは、勘定科目、会計仕訳、勘定残高などの会計・財務情報を表現するためのXBRLタクソノミです。
XBRL
GLはXBRLのタクソノミの一つとして定義され、データ仕様はXBRL仕様に基づいています。事業活動に伴う内部報告データを異なるシステムやアプリケーション間でやり取りするための共通のデータ仕様です。
XBRL
GLは、次のようなデータ仕様について標準化しています。
- 取引に伴う帳簿(仕訳帳、売掛帳、買掛帳、在庫表、勤務表など)の共通表現。
- 取引表現に必要となる、共通的な構成要素である科目、金額、リソース、事象、関与者、証憑書類などについての共通表現。
- 試算表、連結計算書の表現及び多様な報告書(有価証券報告書、決算短信、納税申告書など)への対応関係。
XBRL GLの特徴
XBRL 2.1では、複数の要素の集合を表現する一手段としてタプルをXMLスキーマにより定義することができます。XBRL GLのデータ仕様は、主にタプルにより定義されています。
XBRL GLの構成要素
事業報告の基礎となる個別の業務の記録を捕捉するための次の構成要素を提供しています。
- 会計仕訳
勘定科目、貸借区分、金額、発生日付及び摘要 - 組織、関与者
顧客、取引先、従業員(実行した人、承認した人、記帳した人など) - 証憑書類
文書番号、日付、文書保管場所 - リソース
在庫、サービス、固定資産、KPI(Key Performance Index) - 他の報告書との対応関係
財務報告書タクソノミとの対応関係
これらにより、単なる帳簿の記録表現だけでなく、事業活動の詳細について標準的なデータ仕様を提供しています。こうした項目を使用して、財務会計の基本データとしてだけでなく、管理会計の基礎データ、財務会計の基礎データとしても利用可能となります。
XBRL GLと財務報告の連携
XBRL GLは、財務活動の報告に必要な詳細情報を持ち、制度の異なる多様な財務報告書の形式とは独立して内部報告用に記録します。このことからXBRL GLで記録されたデータにより、会計監査、予算立案、外部報告などの目的に応じた財務情報を作成することができます。
例えば、外部報告用の科目を、XBRL GLの集計先として定義した場合、計算書類に記載する科目の数値がどのGLデータから集計されるか分かります。こうして対応関係を用途別に定義することで、多様な財務報告の数値それぞれが、どのような内訳から構成されているのか参照出来るようになります。
図3.で示すように、既存の財務会計パッケージ(ERPパッケージ)に蓄積された日々の取引データと財務報告インスタンスそれの集計先である財務報告情報に対応関係が定義されているため、財務報告の科目から、より詳細な情報へのドリルダウンが可能となります。
このように、財務報告の科目とその内訳である詳細情報とを関連付けて表示できるので、XBRL
GLは、連結決算や会計監査、財務・経営分析作業を効率化する有効な手段として活用できます。
図3. XBRL GLと財務報告の連携利用
XBRL GLは、XBRL仕様に基づいており、項目間の関係を含めた詳細な企業取引情報をタクソノミ文書とインスタンス文書で表現できます。内部報告における標準的なデータ仕様を提供しており、多様な業務システムの情報を共通の表現に変換することが可能となります。こうすることで、データ源とその利用アプリケーションを個別に連携させる従来の複雑なNxMの対応関係を単純なN+Mの関係に変更することが可能です。
こうしたデータアーキテクチャを利用し、M&Aなどの事業モデルの変化に即応して、様々なシステムからの情報連携を可能にする拡張性や、事業活動の統一的なモニタリングによる迅速な経営判断が可能となります。
XBRL GLのモジュール構成
XBRL GLは会計上同じ概念を持つ共通部分と地域・慣習などの違いによる拡張部分から構成されています。
共通部分:Core
国や地域、業種に依存しない共通モジュールです。
拡張部分:Add-on
国や機能、業種などに依存するモジュールです。さらに5種類のモジュールに分類されます。
- Advanced Business Concepts
add-on:ビジネス用語モジュール
ビジネス上必要となる情報(住所、予算コード等)を定義した語彙をまとめたモジュールです。 - Multicurrency add-on:複数通貨用モジュール
外国通貨を扱う場合に、為替レート等を設定するための語彙をまとめたモジュールです。 - Advanced US/UK Accounting
add-on:米国英国用別モジュール
必ずしも米国、英国に限った話ではないが、より高度な会計処理を行うために必要な語彙(元勘定から子勘定をトレースするために必要な情報など)を定義したモジュールです。 - Tax and Audit File add-on:税金用モジュール
税金および税務監査のために必要な語彙を定義したモジュールです。 - Summary Reporting
add-on:集約報告用モジュール
集約報告(財務諸表等)との対応関係を定義するために必要な語彙を定義したモジュールです。
基本となるものは、Coreモジュールです。Coreモジュールをベースに、使いたい語彙を含んでいるモジュールの組み合わせを選択して利用します。現在、国際標準では、8種類の組み合わせが標準のタクソノミとして公開されています。組み合わせを変更する場合には、GL作業部会への変更依頼が必要となります。
また、英語だけでなく日本語・ポルトガル語(ブラジル)・中国語・イタリア語・スペイン語・フィンランド語・フランス語・トルコ語といった多言語のラベルが用意されており、データ交換を国際的に行う場合に便利になるようになっています。
XBRL GLのデータ構造
XBRL GLタクソノミの構造を紹介します。まず、XBRL要素の直下にXBRL GLのルート要素 accountingEntries要素があります。accountingEntries要素の下位要素は、次の3種があります。それぞれ次の情報を格納します。
- documentInfo
この文書(ファイル)の情報を格納します。 - entityInformation
会社・団体の情報を格納します。 - entryHeader
仕訳データを格納します。複数の仕訳を格納可能です。
伝票の見出し情報と明細から構成されます。
会計仕訳をXBRL GLでは、図3.で示した構造で表現します。entryHeader要素が会計仕訳の見出し情報であり、entryHeader要素の下位要素に摘要、登録者などの情報を格納します。現金や売掛などの詳細(明細)はentryHeader要素の下位要素であるentryDetail要素にまとめて記載します。entryHeader要素は、伝票に対応するので、伝票と同じ数のentryHeader要素を繰り返します。
図3. XBRL GLタクソノミと仕訳の対応関係
